2007年10月20日
私版京都図絵
おはようございます。
土曜なのに早起きをしたもーちゃんです。
昨日は朝からずっと雨で、けっこうな降水量が記録されました。
たっぷりと雨を降らせた低気圧が東へ抜けると、
この時期はお約束の寒気がはいってくるので週末は冷え込むみたいです。
季節の変わり目、皆さん体調に気をつけてくださいね。
さて、今月の京つうマガジンのテーマは「京都が舞台の映画や本」です。
この頃は森見登美彦や万城目学が話題になっていますが、僕は森見登美彦の「太陽の塔」しか読んでいないので(誰かあげるかな?)、昭和の作家をとりあげることにしました。
水上勉の「私版京都図絵」です。

大正8年に若狭の国に生まれた水上勉は、昭和2年、9歳で京都の相国寺に小僧として修行に出されます。厳しい修行についていけず、一度は逃げ出すのですが、その後連れ戻されて等持院で20歳位まで、修行することになります。
「私版京都図絵」はその頃の京都の思い出を中心にかかれた自伝的エッセイです。昭和初期の京都の町並みがいきいきと描かれています。
概ね年代を追ってかかれた章のタイトルは、
・六孫王神社界隈
・五番町遊郭附近
・今宮神社界隈
・相国寺塔頭端春院
・衣笠山等持院
・東山二条産寧坂
・千本丸太町附近
・保津峡曲り淵
・嵯峨鳥居本界隈
・大原桂徳院界隈
・京の人びと 京の風光
遊郭での遊妓との出会いや、映画の撮影が頻繁におこなわれていた等持院など、現在とかわらない通り名の間をかけぬける水上勉の“青春”のいくつものエピソードが綴られています。
なかでも読後に深い印象を残すのが金閣寺放火にまつわる「保津峡曲り淵」です。
金閣寺放火事件をとりあげたものは三島由紀夫の「金閣寺」が有名ですが、水上勉は自身が修行僧であったこともあり、放火した若い僧とその母親への強い共感が文章の底に流れています。
この本を読むまで知らなかったのですが、放火僧の母親は、面会のために京都を訪れるのですが、面会を拒絶され、失意のうちに帰りの列車に乗ることになります。そして、嵐山駅をでて、保津峡駅に向う途中で(現在の嵐山トロッコ列車が橋っている線です)、保津川に身を投げます。
水上勉も山陰線に乗って、京都に来たこともあり、京都にはいる直前に目にする保津峡の様子を希望と不安が渦巻く心情と重ねあわせます。母親に対するまなざしはどこまでもやさしく、深い哀しみに満ち満ちています。
僕の持っている福武文庫版はもう絶版になっているのですが、Amazon でならすぐに中古が見つかります。
また淡交社から「水上勉の京都を歩く/蔵田敏明:文 宮武秀治:写真」が昨年出版されているので、水上勉と京都の関わりについて興味をもった方は手にとってみては?

土曜なのに早起きをしたもーちゃんです。
昨日は朝からずっと雨で、けっこうな降水量が記録されました。
たっぷりと雨を降らせた低気圧が東へ抜けると、
この時期はお約束の寒気がはいってくるので週末は冷え込むみたいです。
季節の変わり目、皆さん体調に気をつけてくださいね。
さて、今月の京つうマガジンのテーマは「京都が舞台の映画や本」です。
この頃は森見登美彦や万城目学が話題になっていますが、僕は森見登美彦の「太陽の塔」しか読んでいないので(誰かあげるかな?)、昭和の作家をとりあげることにしました。
水上勉の「私版京都図絵」です。

大正8年に若狭の国に生まれた水上勉は、昭和2年、9歳で京都の相国寺に小僧として修行に出されます。厳しい修行についていけず、一度は逃げ出すのですが、その後連れ戻されて等持院で20歳位まで、修行することになります。
「私版京都図絵」はその頃の京都の思い出を中心にかかれた自伝的エッセイです。昭和初期の京都の町並みがいきいきと描かれています。
概ね年代を追ってかかれた章のタイトルは、
・六孫王神社界隈
・五番町遊郭附近
・今宮神社界隈
・相国寺塔頭端春院
・衣笠山等持院
・東山二条産寧坂
・千本丸太町附近
・保津峡曲り淵
・嵯峨鳥居本界隈
・大原桂徳院界隈
・京の人びと 京の風光
遊郭での遊妓との出会いや、映画の撮影が頻繁におこなわれていた等持院など、現在とかわらない通り名の間をかけぬける水上勉の“青春”のいくつものエピソードが綴られています。
なかでも読後に深い印象を残すのが金閣寺放火にまつわる「保津峡曲り淵」です。
金閣寺放火事件をとりあげたものは三島由紀夫の「金閣寺」が有名ですが、水上勉は自身が修行僧であったこともあり、放火した若い僧とその母親への強い共感が文章の底に流れています。
この本を読むまで知らなかったのですが、放火僧の母親は、面会のために京都を訪れるのですが、面会を拒絶され、失意のうちに帰りの列車に乗ることになります。そして、嵐山駅をでて、保津峡駅に向う途中で(現在の嵐山トロッコ列車が橋っている線です)、保津川に身を投げます。
水上勉も山陰線に乗って、京都に来たこともあり、京都にはいる直前に目にする保津峡の様子を希望と不安が渦巻く心情と重ねあわせます。母親に対するまなざしはどこまでもやさしく、深い哀しみに満ち満ちています。
僕の持っている福武文庫版はもう絶版になっているのですが、Amazon でならすぐに中古が見つかります。
また淡交社から「水上勉の京都を歩く/蔵田敏明:文 宮武秀治:写真」が昨年出版されているので、水上勉と京都の関わりについて興味をもった方は手にとってみては?

Posted by 京つうスタッフ at 07:53│Comments(0)
│'07年10月号☆京都が舞台の映画や本